柑橘類の陽

イラストだけでなく、言葉でも伝えられるようになりたいです。

「皆さんの声援が私達の力になります」

6月18日の朝に関西地方で起こった地震。その時私は屋内にいて、「大きめの地震だな」と揺れる棚を見つめていました。その後、「移動してたから揺れたんかわからへんだわ~」と笑う会社の人達を見て、私もそちら側になりたかった…と思っていました。揺れるのを見てしまったから、怖い。今回の地震でイライラしやすくなっていた私ですが、一つ不安なことがありました。

週末の遠征はどうしよう?

2011年3月12日に上京予定だった時の事を思い出し*1、「行けたら行くわ」くらいにしか実現を期待できませんでした。会う予定をしていた友達にも、そうとしか返せませんでした。
小さい余震でも目は覚めるし、「二日後の本震に注意!」というツイートを何度も目にし、ありがたい忠告にしても大きな揺れを期待されているようで嫌なんですけど!とイライラべそべそしたり、大雨に怖がりつつ、やりたいことをやって早めに一日を終えていました。周りの人はすぐ日常生活に戻ったように見えるのに、どうして私だけ戻れないのだろうか。それもイライラの元でした。

その後は幸い大きな揺れや交通網の乱れがなかったので、週末は当初の予定通りに出発しました。
私がまず向かったのは、愛知県の栄にあるSKE48劇場です。

開演前の場内アナウンスには「大阪北部地震」も早速加わっていてウッとなりましたが、ステージの上の彼女達はキラキラしていて、これまでと変わらない世界にホッとしました。
そして「約束よ」という曲でファンそれぞれが推しの名前を8回叫ぶコールを聞いて、思わず涙がこぼれました。
背中が押されるような声の圧に力が湧いてくるのを感じ、何だか元気が出ました。タイトルにも用いた「皆さんの声援が私達の力になります」は、アイドルがよく伝えてくれる言葉ですが、その一端を実感したような気がしました。

名古屋でも東京でも、友達とご飯を食べながら色々な話をして、気が晴れました。体調も悪くない、むしろ普段より元気かもしれないと思える程になりました。
そういえば、2011年の3月は、なくなった予定の代わりに地元の友達と会って、地震が怖いだの何だのと何時間も話して、互いの不安を紛らわせていたことを思い出しました。震源地の近くに住んでいなくても、今までは普通にあった日常を突如壊す地震が怖かったのでした。どうしてそんな大切なことを忘れていたのだろう?と思うと同時に、思い出すだけの心の余裕ができたことに気づきました。

「非常時にエンタメは必要ない。贅沢だ。」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、大事なものです。少しの間だけでも非日常の世界に入り、しんどい現実を忘れられる時間があることは救いです。*2私は今回の遠征で気持ちが整理され、スッキリした状態で日常へと戻れました。行って良かったです。

音楽劇「マリウス」大千穐楽で聞いた、雨が降っているような大きな拍手の音も、とても心地よかったです。これも、先日のコールと同じく、お客さんが作り出した音の世界です。

最近は、どうしてそんなに酷い言葉を投げつけられるんだろう?どうしてそんなに身勝手なことができるんだろう?と苦く思う出来事が度々あり、ついつい「○○ファンは」「オタクは」と主語を大きくしてしまい嫌になっていました。でも、この一週間で私が元気になったのも「○○ファン」「オタク」のお陰なので、全てを嫌うのはまだやめておこうと思いました。
そしてどうせなら、自分も誰かを元気づけられる側でありたいと願います。

*1:公演が中止になったり決行されたり、そもそも行きも帰りも手段がありませんでしたし、観劇どころでないことは理解していました。

*2:しんどい現実そのものを見せつけられているようで、その時の自分に向いていない演目も、勿論あると思います。