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柑橘類の陽

イラストだけでなく、言葉でも伝えられるようになりたいです。

ANOTHER~ダイゴと長老について~

私がこれまでに触れたANOTHERは、2006年関ジャニ∞主演「Another's ANOTHER」と2013年関西Jr.「ANOTHER」で、2013年松竹座版との一番の違いが「ダイゴと長老(父親)の関係性」だったので、そこを重点的にこの夏は考え込んでおりました。

前半は実際に観ていない方向けへ西畑くんの一人二役について、後半は役の設定について考えたあれこれです。
その他の部分については別記事にて書いております。
ANOTHER~全体の感想~ - 柑橘類の陽

 
◇目次◇

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ダイゴと長老の一人二役

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この舞台で、長老の出番は二回あります。

一回目は、ダイゴが島の住人たちに捕らわれそうになった第一幕終盤の場面で、突如語り出す長老の話を聞くうちに、彼こそが探し求めていたダイゴの父親だと判明します。その後ジョウがダイゴの手を引き、逃げることで幕が下ります。
一人二役の流れは下記の通りです。

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①ダイゴが島の住人に見つかる
 A:ダイゴ
島の住人が一斉に舞台奥の方へと槍を突き付け、ダイゴの姿は客席から見えなくなります。青いライトが照らされ(この段階で西畑くんはBの後ろへと移動します。)、暗転、雷鳴が轟きます。

②長老の語り
 B:長老(西畑くん)
 A:後ろ向きのダイゴ(影武者)
長老の語りに、ダイゴは聞き入る。

③長老とダイゴのやり取り
 C:長老(影武者)
 B→A:ダイゴ(西畑くん)
雷鳴が轟く暗転中に長老のケープ(衣装)をB・C間に落とすとBにはダイゴが。
ここから長老とダイゴがやり取りをするのですが、「長老の声は録音?」という声が出てくるのももっともな場面です。長老が話す際に後ろを向く(Cを見る)ダイゴは、前から見ている分には微動だにしていませんが、端の席からだとほっぺたのお肉が動いているのが見えます。つまり、その場で長老の台詞を言っています。ダイゴの台詞は客席側を向いて話し、一瞬で二人分の声を使い分けます。

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二回目は、漂流した少年たちが島の住人の手助けにより出航することになり、船が去ったあとの、エンドロール前の最後の場面です。ダイゴとの出会いを喜び、名残惜しみます。二幕に長老の出番がないことと、その直前にコウジとキョウヘイのやり取りがあり、話として満足することもあって、「そういえばこの人もいたな」と存在を思い出した部分でもあります。ここの出番のため、西畑くんは「Another Tomorrow」で早めに退場します。

 

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長老の設定考

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初見で一番悩んだのが、長老の年齢です。話の筋を聞いただけでは長老は50代かと思っていたのですが*1、喋り方はそれ以上の年齢、父というよりは「おじいちゃん」といった感じだったので混乱しました。西畑くんも毎回色々と試しながらやっている部分だと思うのですが、平均体感年齢が70~80代でした。

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この図を作って、年齢についてうんうんと唸っておりました。長生きが珍しい環境であれば、長(龍太くん。20~30代?)より多少年上であるだけでも「長老」と呼ばれても不自然ではないと思います。シュンの父親となる可能性を広げるために年齢に幅を持たせると、約半世紀(50年)もの広さになってしまいました。
同じブルーでも、シアンコバルトブルーの差よりもシアンウルトラマリンの差の方が大きくて違いを表しやすいので、「ダイゴ」と「長老」の差をよりくっきりと表しているのかもしれません。両者に同じ20年の差があるとしても、「少年とサラリーマン」より「青年と壮年」の方が違いを出すのは難しいと思います。
私も色白肌の次に地黒肌を塗ったら思っていたよりも濃くなりすぎたところですので、これ以上は言わないでおこうと思います。他人のふり見て我がふり直せですね。

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(西畑くんの一番濃い色を康二くんの一番薄い色にしてしまったので、全体的にすごく濃くなってしまいました。塗りたかったのは恭平くんくらいの濃さです。)*2

ちなみに血液型は、現実に即してダイゴAB型・シュンO型とすると、長老はA型かB型かになります。*3

そもそも、一人分のクズ度を分け合った船員(バンド組)*4以上に、長老はクズ度…というかだめんず度が高いと思います。

捕えられそうになった外界の人に向かって滔々と語っていますが、たまたま相手が息子だったから運命の再会となったものの、ダイゴでなかったらあの長話はどうなったのか。漂流者を島の仲間に引き入れようとこの島の素晴らしさを説くというのならわかるのですが、島に掟を作り外界から断絶した張本人がそうすることもないでしょう。息子のダイゴが捕えられて生贄にされそうになっても特に何もせず、息子よりも自分の保身に走っているように思います。もしかしたら「俺はどうもしないけど頑張って生き延びろよ」くらいは思っていたかもしれませんが、それにしても無責任…。今の生活の方がダイゴよりも大切なのかと思うと、すっかりダイゴと母の事は長老の中で『過去』となっていますね。
くだけて意訳すると「妻と息子との生活が嫌やったけど言えへんでしんどかったわー。今の島の生活は最高☆」な話の上に、「もちろん妻と子には悪いと思っているんです」に続いて「それより」と軽く扱ったことに自分本位さを感じて腹が立ちました。*5「すまなかった」の6文字で全てを水に流そうとしますし…。

ダイゴは終始、知らずと父に共感していたり(島を「楽園のようなところ」と表現。)どうにか理解しようとしたりしますが、そこまで歩み寄ろうとするのは親子の情ゆえでしょうか。
小さい頃に父から教わった「ハムレット」の台詞*6を思い出として大切にしてきましたが、今まで想像してきた父親像とは違うであろう(日本の生活を捨て、自分の意思で島に留まる選択をした)姿を見て、気持ちには変化があったのでしょうか。
ダイゴが日本に帰って母にどう伝えるのかを考えると、心苦しいです。何も言わず死んだままとしておく方が良いのか、本当は生きていて第二の人生を送っていることを伝えるべきなのか。コウジが島に残り、もしも母に会ったら「南の島で2人で楽しくやってる」と伝えるよう託したことと合わせると、どちらが優しさなのかわかりません。

 

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長老の解釈

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ここまで嫌悪感を持つと、もう少し長老に歩み寄れないかと思い始め、舞台上で得た情報からどんな人物であるかの解釈を考えました。

①自分以外に興味が持てない人物である。
妻の石碑に木が倒れていても放っておいたままなことや、自己本位な言い分から、自分以外に興味を持てない人なのかもしれません。周囲が一生懸命働きかけても、何も響かないような人。シェイクスピアの言葉をおさなごに聞かせるということは、文学や演劇で名を上げようと志していたのだろうか…とこう書いていると、夢追い人タイプのだめんずな香りが何だか漂ってきてしまいます。しかし、こういった男性に対して庇護欲をかきたてられて世話を焼く女性が度々いるのも事実です。

②すまないと思っている気持ちは隠していた。
シェイクスピアを嗜むということは、多少戯曲や演劇に興味があるのかもしれません。向かい合っているのが捨てた息子だとわかり、ダイゴとはもう違う道を生きているから自分のことは忘れて生きてもらえるよう、わざと冷たく接する演技をしたのかもしれません。

③長老は既に狂っていた。
どうも実年齢よりは老いていそうな見た目・動きから、この島の生活が本当は長老には合わなかったのではないか。「嫌なことを嫌だと言う勇気」は漂流という結果を起こした船旅に対しての後悔で、ダイゴにした話は自分に言い聞かせるために後付けで作った言い訳であった。しかしダイゴが目の前に現れたことで、かつての自分・現実を思い出してしまい、混乱する。…と考えると、途端に長老が可哀想な人に思えてきます。
自分語りの内容に加え、「ハムレット」の一節を朗じたことによりダイゴは父だと確信しますが、ダイゴ以外の人からするとなんのこっちゃですよね。

④長老は本当に高齢だった。
定年退職を迎え、船旅に出たところで遭難。今までの自分を全て捨てて心機一転、人生をやり直す!


…だんだんと煮詰めすぎた感がありますが、誰かの思考の手助けになれば幸いです。
「長老を許すためには」で考えていったのですが、まさかの高齢パターンが一番許せてしまいました。でも私の中の『普通』で考えるともっと年齢は若いので、折り合いの付け方が難しいです。

 

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スッキリと観終わるには

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物語の最後でダイゴが「許すことはできないけど、いつかはあんたのことを理解できるのだろうか?」と問いかけていて、ダイゴ内でも解決しきっていないところがモヤッとするのですが(「ですよね、理解できませんよね」とも頷きますが)、以下、どうなったら私はスッキリしたのかを考えた結果の産物です。無茶な案から挙げていきます。

☆次年度は「DOUTON BOYS」を上演する。
ダイゴが苦悩を抱えたままの状態で来夏へ繋ぐのであれば、今現在がスッキリしていなくても良いかと思いました。「DOUTON BOYS」*7を観たことがないので一度観てみたいという欲もあります。

☆いっそ「ハムレット」オマージュの展開にする。
朗々と詠い継いだ「ハムレット」の台詞を伏線とし、事情があって帰宅できなかった父の無念を晴らすためにダイゴが島の秘密に最後に迫る(中盤で先程の姿が幽霊だとわかる)。これだとダイゴに要素がてんこ盛り過ぎて圧倒的主役に。一人だけ別に漂流という設定もなしで、全く違う話になりそうです。

☆わかりやすく息子が父親の存在を超える。
父の信念「嫌なことを嫌だと言う勇気」を打ち砕く、例えば逆の「好きなことを好きだと言う勇気」*8をもって困難を突破する。しかしそれにはダイゴに「父親を捜す手がかりを得るため乗船した青年」以外の要素を加える必要があります。

☆「ワシのことはもう忘れてくれ」というような言葉を加える。
これでも十分に自分勝手な言葉ではあるのですが、「すまなかった」の6文字以上には出てこない息子への申し訳なさを表してほしいです。

☆長老がダイゴを助ける描写を入れる。
同時に舞台上で一人二役をせず、録音の音声演出ででも、島の住民から逃げる方向を教えたり、ムラサキアザミ草の場所を伝えたり、ダイゴを陰ながら手助けすることはできるはず。ああは言っていたけど本当はダイゴを心配してるんだな、とスッキリし、最後の名残惜しさにも繋がります。シルエットの登場もあれば、なおわかりやすくて良し。

☆シュンからも父の話を出す。
ダイゴ側に立つから父がすごく納得のいかない人物になるので、せめてシュンから見た父親像が悪いものでなかったら(2人が異母兄弟だと知る前に、ダイゴがここへ来たいきさつを聞いて「俺の親父はみんなの暮らしを便利にしたから尊敬している。」と答えるなど。)、日本ではなくこの島の生活を選んだ父の気持ちを多少汲まないでもないです。

 

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まとめ

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難癖をつけるかのごとく考えてきましたが、舞台を観て自分の中で咀嚼する作業は楽しいです。
観客である私は、出来上がった作品(上演していくうちに変化が観られるのも「生」である良さです。)からあれこれ考えますが、舞台の上に立つ人、それを支える人は、作る段階でそれぞれの役割に向き合う訳ですよね。同じ人物を解釈しようとしても、人によって考え方や感じ方が違うので別の色になり、考えていく中で自分が重要視している部分がわかっておもしろいです。
「ANOTHER」について書いた記事二つを合わせて手短にまとめると、「「星をさがそう」と「Darkness」がすごく良かった!」というところになりますが…(笑)。ここまでお読みいただきありがとうございました。

2013日生にはマオがいて若干関係性が異なるとはいえ、ユウマを観て当時の優馬担はどう思ったのか知りたいところです。
2016年の夏は一度きり。後から思い返してもキラキラ輝いていたら良いなと願います。 

*1:ダイゴ20歳、シュン15歳、ダイゴが父30代の時の子として現在は50代。

*2:コピックを使う方以外には魔法の呪文みたいな文字を並べますと、色白→R000,YR00,E02。普通→R00,YR00(使用料多め),E02。地黒→YR00,E02,YR02で普段は塗っていますが、画像の康二くんは間違えて「E02,YR02,YR16」で塗りました。YR16はもはやオレンジです。

*3:長老の血液型にもよりますが、ダイゴ母はO型以外のどれか、シュン母はAB型以外のどれかになります。

*4:2013年の船員フジイ=コジマ+アカナ+ヨシオカ+マサカド-薬草の知識(※2013ではジュンタの要素)なクズ度でした。ちなみに、島の住人に捕えられたフジイを一旦見捨てたのが、子分よろしくフジイに従うようになったダイゴ。

*5:マサカドがヨシオカ・コジマ救出を「そんなこと」呼ばわりしたのにもカチンときたので、ここが私の立腹ポイントです。

*6:第一幕第五場。幽霊となった父から死の真相を聞かされたハムレットは、託された復讐を強く心に刻む。

*7:2003年夏に∞さんが上演した「ANOTHER」続編。島から帰ってきた少年たちがバンドを組んだりお笑いに走ったりする、というくらいの理解をしております。

*8:JUMPさんの「Your Seed」がBGMにかかりそうですね。