柑橘類の陽

イラストだけでなく、言葉でも伝えられるようになりたいです。

副題は「旅人」~「One ANOTHER」所感~

開演前に会場にオルゴールVer.で流れる「Another Tomorrow」が発表されたのは、今から10年前の2013年夏でした。それよりもっと前、2002年に関ジャニ∞が松竹座で上演した「ANOTHER」にて披露された「旅人」が今夏のキーワード楽曲です。まずは歌詞を貼っておきます。

関ジャニ∞ 旅人 歌詞 - 歌ネット

 

ストーリーの感想

※以下、話のネタバレを大いに含んで話します。相関図もネタバレを含みます。

 

【簡単なあらすじ】 
かんさい海洋高等学校の船舶実習中に嵐が起こり、生徒たちは無人島に難破する。意見の相違から、航海コース、機械コース、2年生チームに分かれてギスギスするが、先の嵐で亡くなったソウシ先生の遺志を引き継いだシンが、みんなの心をもう一度ひとつにしようと励む。 

 

【相関図】

生徒たちは、3年生で航海コースか機械コースかを選択し、それぞれの道に進んでいきます。 
その進路決定時に「別々のコースで学び、ゆくゆくは船長と機関長になって一緒の船に乗ろう!」と約束するオトとケイゴの姿があり、こういう設定は、オタクみんな好きでしょ~!?と思わず主語が大きくなりつつ頭を抱えました。タイプの違うアユム*1とゲントクも両コースに分かれて支え合うし、安易に使いたくない「エモい」関係性があちらこちらにありました。それぞれのチーム内で別視点の意見をもたらすのがシンジとリキ(岡くんと楽くん)で、縁の下の力持ち感があって良かったです。 
2年生全員がボイビではなく一太くんがいることで、それぞれのチームとして締まった印象になりました。 
 
かつてタクミが救ったソウシ先生の命が、今度はオトを助けるという命の連鎖。 
ハピエン好きなため、「みんなすぐに先生は死んだことを受け入れたけど、実は生きているのでは?ワカメをひょっこり頭に乗せて登場するのでは?」とかなり後まで疑っていました。しかし、シンと夜の岩辺でのやり取りがあった後に花道のすっぽんで退場したため、この世にあらざる者になったと納得せざるをえませんでした。海難事故はそれくらい唐突に人の命を奪う…。 
話の筋を知った後で改めて観劇すると、「海が好きやから」入学したシンの言葉に泣きそうになります。 あらすじでの主語にするくらい、私の中ではシンがこの舞台の主役でした。
 
もちろん、この舞台を絶賛する声ばかりではありませんでした。島で少年たちが葛藤する部分が主なため、例年に比べてあまり動きがないよう感じられたのが、不満点に繋がったかと思います。 
順番にシンの言葉に納得していくシーン(と解釈しています)を「笑ってはいけない○○」だと評する人もいましたが、切ないアレンジBGMの「旅人」に涙腺を刺激されるから、私はそれどころではなかったというのが正しいところ。 
 
観劇してから振り返ると、タイトルは「One ANOTHER」…「お互いに」。船を進めるために必要な、お互いに思い合うことの大切さを描いていました。珍しくも、タイトルが話の内容ときっちりリンクしていました。 

 

ショータイム

赤い幕の前で、塩山直太朗くんのバレエと伯井太陽くんのダンスで空気が一変。これからショーが始まるぞ~!という空気に包まれます。 

「ABC」
わっしょいしんけんすいじゃくで見掛けた姿も多い、フレッシュJr.のまだおぼつかないダンスがかわいい。次の季節には今以上に踊れるようになっているんだろうな~。子犬とJr.の成長は早い。


「BANG!BANG!バカンス」
「渚のお姉サマー」(アンビメイン)
「ole!ole!carnival」(ボイビメイン)
「Løve Rainbow」(りとかんメイン)
夏真っ盛り!盛り上がるぞ!と楽しいメドレー。 


「KANSAIサマー」
東のサマパラでも披露された、関西Jr.の新曲です。ざっくりと言って、盛り上がるお祭り曲で、メンバーが踊るのを見ればすぐに踊れます。今度は「どっこい!」なんか~と思いました。「夏は短し恋せよ乙女」のフレーズとメロディーが好きです。 

 

「Amazing Romance」(彪太郎、浦、一太、上垣、千田、亀井、司、惺太)
「今夏は誰を目当てに観に行くんですか?」と訊かれると、「りとかんはこたちゃん、アンビは浦くん、ボイビは亀井くんが好きですね。無所はたんたん(丹下璃音)と伯井(太陽)くんを観たいです。」と答えていました。そんなメンツが揃っているのでニッコリしました。しかもスティックを持って踊るキラキラ楽曲!やったー! 

「青天の霹靂」(風雅、楽、リオン、太郎)
檻を携えての登場で、一気に治安が悪い(誉め言葉)!!!!

「夏のハイドレンジア」(西村、岡、丸岡、北村)
しっとりと歌いあげる。シャッフルコーナーはりとかんが「二番目の個性を活かせるように」とメンバーや選曲を行ったそうで、いつもと少し違った姿を見られて嬉しいです。 

 

「Masterpiece」
関ジュの文脈では、かつてFunky8が踊った曲ですが、カッコイイダンス曲として再び取り上げてくれて嬉しいです!

「関西アイランド」

「LOVE」
いろんな季節を思い出す、名曲。私はやっぱり2015年日生の「少年たち」を思い出します。 
この曲の伯井くんの表現力がめちゃくちゃすごくて!何でそんなにキラキラを振りまけるの⁉愛そのものじゃん⁉と動揺しました。無所メンバー最前列0番にいるのも大いに納得です。 


「旅人」に思いを馳せて

観劇後の第一印象は、関ジャニ∞の「旅人」をモチーフにして作られた「ANOTHER」だということでした。そもそも「旅人」は舞台「ANOTHER」に当てて作られた楽曲なので、鶏卵の話にはなりますが、以前より「旅人」を知る人たち(主にeighter)の琴線に触れるのは当然です。 
私の初松竹座は2004年夏の「Summer Storm」で、実際に関ジャニ∞が松竹座で「旅人」を歌う姿は観たことがありませんが*2、それでも2023年夏の松竹座で関西ジャニーズJr.が「旅人」を歌った事実にグッときます。 
 
ここ数年観てきた「ANOTHER」とは舞台設定から大きく異なりましたが、「ANOTHER」とはどういう話?と問われた時に、「少年たちが船で難破し、たどり着いた無人島で葛藤した末に成長する話」と答えるならば、今夏も間違いなく「ANOTHER」です。主題はそのままにアレンジをきかせ、こういう伝統の受け継ぎ方もあるのか~と新鮮でした。 

 ソウシ先生「船は一人で漕ぐもんやない。みんなで漕ぐものや!」
 シン「海が大好きやから」
 アユム「船は人生」

など、海や船と人生をリンクさせるポイントとなる台詞がいくつもある中、”大切な人から教えてもらった言葉”として、ソウシ先生が度々伝えたのは次の一節です。 

遠くで誰かが今 僕を呼んでる気がする
特別なココロで あてもない旅に出かけよう

「旅人」って、こんなに船旅めいた歌詞だったんだなぁ…と今さらな感想を持ちました。 
ところで、劇中では語りすぎずに察せよという部分なのでしょうか。話が進むにつれ、「旅人」を知っていると思い浮かんでくる歌詞が下記の部分です。 

大切な場面が 例え色褪せても
あの人の言葉を忘れない

劇の最後で歌うとなった時に、このパートは誰がどう歌いわけるのか?と楽しみにしていましたが、残念ながらカットでした。 
ここで指す"あの人"って、オトとケイゴにとってはソウシ先生で、ソウシ先生とシンにとってはタクミなんですよね。劇中の最後にシンが「僕のお兄ちゃんの言葉です!」と嬉しそうにオトとケイゴに話してくれましたが、Wミーニングの単語…良い…!そして"言葉"自体は「旅人」の一節で、もうこの舞台の副題は「旅人」やん⁉と今回の記事タイトルにもなったわけです。 
全く知らない楽曲群から自分の好きを見つける作業も楽しいけれど、もともと知っている曲を深掘りする作業も楽しいな~と思った夏でした。 
 
23日夜公演の彪太郎くんの挨拶で、「1曲を作るだけでも大変なのに、今回の舞台では4曲も新曲があってありがたいことだ。*3今後も歌い継がれていったら嬉しい。(意訳)」という話があり、私もまさにこの気持ちでした。もしも数年後に今回の楽曲を受け継いだ次世代の子達がメインとなる舞台が上演され、りとかん担も懐かしい気持ちになるのかもしれないと思うと、今後の「ANOTHER」も楽しみです。 

 

左は2月と5月、右は8月に頂いた、松竹座のお姉さんによる双眼鏡チェックOKの証シール。色違いデザインが嬉しい。秋以降別デザインになった場合は教えてください。

*1:のちに、アユムには闇落ち寸前な展開が待っていた。なんてこった。

*2:参加した2004年クリパの日替わり部分は、クリスマスパートでした。

*3:「世界が君を待っている」「Dream on」「Just don't look back」「KANSAIサマー」※一部、曲名の表記不明。