柑橘類の陽

イラストだけでなく、言葉でも伝えられるようになりたいです。

関ジュ6月舞台雑感

6月に東名阪各地で上演されていた、関西Jr.出演舞台の雑感です。

 

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「マリウス」

まず、1930年代のマルセーユでは婚前交渉が恥ずべきものとされていたのかというところからでしたが*1、当時のマルセーユでどんな人たちが暮らしていたのか、空気を掴みやすかったです。初見は話の流れを把握するため全体的に見るよう心掛けていたら、プティの場面を何個か見逃していました。

 

西畑くん演じるプティに関しては可愛いという記憶しか残らなくて、ハテ?記憶喪失?という状態に。前年に同じプティを演じた七五三掛くん担当の友達から「出番数は少ないけど、とにかく可愛い!歌も可愛い!!」という熱い声を聞いて想像していた以上に一挙手一投足が可愛かったです。*2お顔と表情も可愛い。長尾くんがかんじゅ日誌で言っていたように、普段の松竹座で西畑くんが演じる機会のない、超!可愛い役どころでした。かわいい。

主に上手~中央で繰り広げられるマリウスとファニーの切ないすれ違いと対比するかのように、下手側でゆっくりと想いを着実に結んでいくプティとニャでした。決してハッピーエンドではない物語の中で、一服の癒しとなっていました。桟橋で楽しげに過ごす二人の手前には、再びマルセーユに戻ってきたマリウスの姿があり、色んな感情や立場の人が集まる場所が町であると思いました。
本読みの時に「西畑くんはお芝居がすごくうまい。勘もいい。」「それは必要としていない。一番若い君にはうまさは求めていないから、それを1回取っ払ってやってみよう。」*3というお言葉を山田監督から頂いたそうですが、逆にその「うまい」プティと私の観たプテイとの違いはどんなものなのか、気になります。

 

様々な登場人物の中で、私が一番に気持ちが寄ったのがパニス(林家正蔵さん)でした。自分の子供でもおかしくない年齢の若い子に恋をしても、結局は同世代の若い男とくっつくものですよ!と口を挟みたくはなりましたが。あと10年くらい生きられるかというところで、子供という大切な存在ができ(子供と血がつながっているかどうかはあまり重要でないと思います)、文字通り生きる希望ができたのだと思います。ファニーの心は自分に向いていないと知りつつ傍にいるのは辛いですが…。どれだけ大金を持っていても人の気持ちは買えないことを、ずっと思い知らされ続ける訳ですから。*4「ファニーは俺のものになったぞ!」と喜べる程に性格が悪くないことが、マリウスが再びマルセーユを去る際のパニスの打ちひしがれた表情からわかり、辛いです。特に最後のシーンでプティとニャの仲睦まじい様子を双眼鏡に収めていると、絶望したパニスがカットインしてくるので、幸福と不幸の落差を余計に感じられました。

 

セザーヌが公で「自分の孫」として赤ん坊を抱く機会は永遠になくなった訳ですが、それでも自分と同じように「父親」として我が子を想うパニスの気持ちを慮って、我が息子のマリウスに厳しい言葉をかける姿こそが「父親」ゆえの愛情でした。

 

でも、あの時にマリウスがマルセーユでの暮らしを選んでいたら、ずっと外の世界への憧れを抱いたまま暮らす姿をファニーは近くで見ることになり、それはそれで辛かったでしょうね。もしもの世界で考えると、劇中でも少し話していた「マリウスは海へと出ていき、ファニーはマルセーユで待つ」という形が一番二人が幸せに過ごせたのではないかと思います。あのタイミングでファニーが妊娠さえしなければ…それとも、この形でも当時のマルセーユでは歓迎されなかったのでしょうか。

 

全体的に、子供よりも大人側に気持ちが寄るようになったあたりで、私もすっかり大人になったのだなと思いました。

 

最後に。翼くんの演じるマリウスはワルな大人の魅力たっぷりで、照史くんの演じるマリウスは愛嬌があって憎めない感じになっていたと聞いています。翼くんのマリウスが観られなくて本当に残念でしたが、照史くんバージョンのマリウスが誕生したことは嬉しかったです。たとえゆっくりでも、翼くんのお身体が快方へ向かいますよう、祈っています。

 

 

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「滝沢歌舞伎」

滝沢座長の演目では、「滝沢演舞場」*5に参加して以来になりました。

そんな未知の現場なので、初日に回ってくるレポの文章の意味が全くわかりませんでした(笑)。これは以前に「JOHNNYS' World」の時に感じたものと似ていて、ほぼほぼあらすじがないけれども、怒涛のショーが続いていく…という流れ自体も合わせて、すごく『ジャニーズらしい』演目だと思いました。

 

一回きりの参加なので、全体を見るように心掛けていました。幸い阿部くんも正門くんも上階から私がパッと見つけやすいシルエットなので、わかりやすくてありがたかったです。

阿部くんは御園座開場を祝しての舞をずっとニコニコの笑顔で踊り、祝意が伝わってきてとても良かったです。

正門くんは、赤いライトを浴びてのギターをソロで弾く姿で確実にファンを増やしたと思います。カッコ良かった…!正門くん以外の関西Jr.メンバーにも、それぞれ見所となる場所を作ってくださって感謝です。

 

滝沢歌舞伎でこれまでにも知っていた情報の実態がわかったのも良かったです。

 

①「春のおどりはよーいやさー」

このフレーズは知っているもののどう使うかわからず、お客さんが「よーいやさー!」とレスポンスするのかな?「よーいやさー!」「よーいやさー!」と重なり合っていくのかな?等々と期待が膨らみすぎており、逆にさり気なく言われて気づかなかったらどうしよう…?と心配もしておりました。

実際は「春の踊りは よ~いや\\\\\さー!!!(舞台上全員) /////」で、そこで切るんですね!?と驚きました。

 

セグウェイ

ハンドルがある形式だと思っていました。もしかしたら雑誌で見かけてもセグウェイの認識をしていなかったのかもしれません。セグウェイの時点で現代的ですが(ここに引っかかるのは、「歌舞伎なのに」という思い込みがあるからですね。)、電飾が点くとより近未来的ですね。

 

③鼠小僧

いつ来るのだろう…?とドキドキしていましたが、ラストの水ビシャーッ大放出を考えれば(知っていれば)、本編最後しかなかったですね…!登場人物の簡単な紹介のみで物語が終わってしまったようで、少々尺に物足りなさを感じましたが、これもまた関西のコント・新喜劇の長さに慣れきった身だからかと思い当たりました。「東西SHOW合戦」の時も同じことを言っていました(笑)。毎日のレポでよく見掛けたのがこのパートなので、日替わり要素が多く含まれる部分なのでしょうね。

大量の小判が客席に振ってくる様は圧巻でした。水の大放出と合わせ、最後の最後まで豪華絢爛ですごかったです!バレリーナの方が水しぶきを上げて舞う度に、前列のお客さんがサッと防水シートを掲げる様子も、上から見ていておもしろかったです。

 

一枚絵として一番頭に残っているのは、五条大橋の上で弁慶(照くん)の大薙刀の上に降り立つ牛若丸(滝沢さん)でした。止まっている姿が綺麗でした。

観劇後は、「何かスゴイものを見たな~」という漠然とした感情が残りました。流石、「ジャニオタならば嗜んでおくべき舞台」に挙げられる演目!*6

何度も観る機会があると、推しの変化や「この曲ではここを見たい!」と自分なりの見方が出てくるものですが、今回は未知の世界に足を踏み入れられる機会があっただけでも、大満足でした。

 

 

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魔女の宅急便

関西の宝として大事に大事に育てられてきた、あの大西流星さんが外部舞台に一人で出演!という時点で、近所のおばさん目線で応援してきた者としては涙が出そうでした。いつの間にか大きくなって…!

西畑くんのプティとは逆に、松竹座ではマスコットキャラや平和を願う純粋な役を担うことの多い大西さんが、年頃の普通の男の子を演じることが新鮮です。同世代の女の子と並ぶ大西さんは、すごく「男の子」でした。観終えた後に、「なんてラブロマンス…!」と胸が高まりました。

 

トンボは「空を飛びたい!」というまっすぐな思いから、飛行機制作に励んだり空を飛べるキキに声を掛けたりする積極的な子で、ダンスパーティーでの振る舞いを見ると、コミュ力の高いリア充属性でもあるなと思いました。

 

「空しか飛べない」とキキは嘆くけれども、「だれだって小さくっても、魔法を1つもっているのよ」と人が持つ可能性に気付かせる言葉をかけたキキは、魔法使いでした。人を励ます魔法をキキは知っていました。

 

キキのいた村では魔女(キキ)の存在は日常でしたが、トンボのいる街では非日常でした。日常に異物が入った時の嫌悪感や恐怖を抱く街の人々の反応は、致し方ないのかもしれません。わからないことは、怖れにつながります。そして真っ先にキキを受け入れたおソノさんから、映画「羊の木」でのクリーニング屋のやり取り*7を思い出しました。おソノさんは、自分の感じ取ったままを信じるし、旦那さんはそれを受け止める方なのですね。

物語のクライマックスである、キキが頑張りすぎて疲弊した結果ホウキで飛べなくなる場面は、辛くて泣きました。「マリウス」の時には自分が大人になったから見える世界が広がったと思いましたが、今回は大人になったからこそ受け取り方がよりしんどくなってしまいました。おソノさんみたいに「心が疲れているときには無理してはダメ。」と労わってくれる人が、近くにいてほしい…!解決方法が、キキの代わりに無謀なチャレンジをするトンボを助けるためという、気合いで乗り越える方法だったので、実生活に活かせるかどうかは保留にしておきます(笑)。守れるものがあると強くなると言いますし、やはり最後は気の持ちようなのかもしれませんが。パッと見た画では、キキがヒーローでトンボがヒロインのように思えましたが、キキの中にある力を最大限に引き出したトンボの存在が、キキに対する魔法になっているかもしれないと思いました。

 

昔に映画を見た時には気づいていませんでしたが、キキは修行のために街へ訪れたのであって、いつかは離れてしまう身だったのですね。またトンボやおソノさん達に会いに行ってほしいです。

*1:キリスト教の影響もあるとおっしゃる方がいて、今の日本と大分異なる価値観での生活だったようです。

*2:昨年版とはプティの出番が少し変わっていたようで、「二人の出会いが…」「そんなシーンあったっけ…?」と友達とは話がかみ合わなかったです(笑)。

*3:「日刊スポーツ」2018年6月9日

*4:「花のち晴れ」の天馬くんも、最後はそのような状態になってしまいましたが…。

*5:横山さん、大倉さんが出演していた2006年春に観に行きました。演出変更後の中盤以降に参加したので、二人が「太陽の子供」でフライングすると聞いていたのに「大阪ロマネスク」歌唱に変更されていたな~とか、光くんがコンッとキツネポーズをしていたな~くらいの記憶しか、今は残っておらず残念です。

*6:「Endless SHOCK」、「JOHNNYS' World」シリーズ、「PLAY ZONE」シリーズと並んで挙がっている印象です。

*7:最近雇った男性に刑務所帰りの噂が立ち憤っていたものの、それが事実だと知り遠ざけようとするが、接していた中で自分が感じたことを大切にしたいと思い直し、今までと同じように過ごすことを決めたくだり。