柑橘類の陽

イラストだけでなく、言葉でも伝えられるようになりたいです。

「明日を駆ける少年たち」雑感

情報局会員動画#36を是非見てください!の一文で済むようになった喜びはありますが、途中だった文章に手を入れる気が出てきたので、何とか仕上げて世に放ちます。

カタカナ名は役柄、漢字名はメンバー本人に関することを書いています。台詞はほぼニュアンスです。

 

 

+++

本編について

 「少年たち」と「Another」を足したストーリーという点は去年と同じですが、色々と制約のある中でもできるだけ何とか辻褄を合わせたい!という気概を感じました。スピードラーニングかのような駆け足ぶりも少しは改善されたのではと思います。(単に私が慣れただけかもしれませんが。)

もちろん全ての疑問がなくなった訳ではありませんが、その姿勢だけでも「こっちが疑問に思っていることが向こうもわかってくれてる!」と嬉しくなりました。

 

◆良かった部分◆

 

・和風オープニング

変面、殺陣、下駄ップという和テイストたっぷりなメドレーが、まさにジャニーズの醍醐味。舞台も見たいけどショーが見たい気持ちもたくさんなので、嬉しいです。

 

・東西共通セット

あっ、このセットは昨秋見た覚えのあるやつ…!去年まではペラッペラだったシャワーシーンのセットまでも、ちゃんとしたモザイクガラスで引き継いでいる…!良いものは受け継いでいけば良いと思います。檻のついた窓から恭平くんが顔を覗かせて歌っていました。

 

・「嗚呼思春期」

今まではバンド組が赤チーム所属ゆえにジャケットに着替えた上で演奏する青チーム曲でしたが、今年はバンド組(正門くん・小島くん)が青チームだったので、焦燥感をそのまま音にぶつける理にかなった状態での披露でした。大橋くんのドラム姿は、14年春松竹*1以来なのでビックリしました。看守を演じる陸くんにしろファッション的な意味で青チームの誰かが担うにしろ、ベースの不在を避けられたのでは…と思いましたが。

 

・ニシハタとケントの関係

ここが一番、少しでも辻褄を合わせたい、理由付けをしたい気概を感じました。

最終的に、撃たれそうになったニシハタをかばいケントが息絶えますが、そもそも二人は別チーム所属です。新入りのケントと二人きりで話したニシハタが「おもしろいやっちゃな」と思う→「おまえみたいな奴がここを変えるんかもしれへんな。」とニシハタがケントを認める→荒天の船から落ちそうになるケントの代わりにニシハタが流される…という積み重ねがあった上での、最期でした。ニシハタの激しい慟哭は、それだけニシハタにとってケントがキラキラとした希望のようになっていたのかと思いました。

 

・トアの泣き虫設定

庇護欲をそそり、オオニシの兄らしさを表す設定ですが、第一幕の脱獄時には号泣し無意識のうちに看守を倒しつくす【トア最強説】が誕生する程なので、意味のある設定だと思います。第二幕でのランブルではもうトアはいないので、その代わりにサノの戦闘力が上がったのかなと思いました。

 

・船で脱出→難破→第一部【完】

船のへりが光っていてやたらと派手だなと思っていたら、荒天で破壊。へりとなっていたのはあけおめで初披露された、あの大きな不等号(<)じゃないか!と大興奮しました。こういう使い道もあるのですね!!
かの「Endless SHOCK」でコウイチが階段落ちして第一部【完】、「続きはどうなるの…?」と幕間にざわめくような展開、とまで言うと褒めすぎかもしれませんが、看守長の不穏な煽りとともに幕が下りて、続きが楽しみでした。唐突にトアが雪を見たがるので、「これはAnother弟の死亡フラグ…!」とAnother履修済みの者にはその後の展開に察しがついてしまいましたが。

 

・ニシハタの父カズアキ

ニシハタが父のエピソードを話した時に、「またか…またニシハタはあのクズ親父(人として好きになれなくて、16年夏に一考しました。*2)にとらわれたままなのか…」と思ったのですが、今回の親父は前ほどクズではない!と拍手をしたくなりました。ニシハタの願いであった、家を飛び出した真意を知ることはできませんでしたが、ムロから写真入りのペンダント*3を託されたことで息子を愛していた気持ちが伝わって良かったです。

 

・トアの死に絶望するオオニシへ追い打ちをかける看守長

「駄目な兄ちゃんでごめんな…」と闇ルートに突入しそうなオオニシに、さらに追い打ちをかける言動をする看守長がとても非道で良かったです。

 

かめはめ波の成長

なぜかサノが事あるごとにかめはめ波を打とうとするのですが、(序盤時期の自己紹介)「尊敬しているのは武天老師」→かめはめ屁→薪に火をつける→看守たちをふっとばす(爆発音つき)という流れで成長を見せます。「夢は努力すれば必ず叶う!」と言う力強さもさることながら、魚も浮いてくる佐野くんの美声を、スタッフさんは攻撃力として捉えているのでしょうか。確かにそれなら強いです!

 

・殺陣の布石

看守長・ニシハタ・ムロの三つ巴となる最終対決の布石がオープニングの殺陣にあるとは…!ここに最初に気付いた人はすごい!

 

 

◇気になった部分◇

 

・ムロ(と看守長は呼んでいた)のキャラクター設定。

島の長であったムロ、ニシハタの父カズアキ、島の民の関係性がわかりづらかったです。服装ってキャラクターを表す大事なパーツなんだなとムロを見て思いました。

 

・看守達の攻撃力が上がってる?

囚人側の暴力を受ける演技力がすごいのか、看守の暴力の威力が上がったように見え、今年の「脱獄しよう!」は、肉体的・生命的な意味でより切実な思いが込められていたのではないでしょうか。

 

・看守長がオオニシに伝えた「母親が危篤だ」というのは、本当なのか嘘なのか。

他年度では不安を煽るために看守に嘘を言わせるという描写があったので、それに準拠するのかもしれませんが、結局どっちともつかないまま終わってしまったなと思いました。

 

・赤チームと青チームの対立感が薄まった

「Rival」を歌うのがミチエダ(赤)とキョウヘイ(青)になり、例年は担当する各チームのトップ・大西畑が歌わないので、チームでの対立感が薄まったように思います。そもそも赤チーム5人と青チーム6人で人数の差がある(「闇を突き抜けて」でも1vs2になっている場面があります)上に、10代と20代の体格差もあり、最終的に亡くなるのは赤チームから二人なこともあって、不平等にも思えます。「ただのトレーニングですから!」「喧嘩でもせなやってられへん」が本音かもしれない、ファッション喧嘩の様相でした。

 

・最後はケントの比重が大きい

ニシハタとオオニシはトアのことも触れるのですが、ミチエダもキョウヘイは続いて「ケント!じゃあな!」と言い、トアのことはどうした!?となるので、せめて半々に分けるかどちらにも触れてほしいと思いました。「トアは自死だったから…」という理由なら辛い。

 

 

+++

ショータイムについて

夏の松竹座は舞台がメインなので、あくまでショータイムはおまけのようになりますが、時間はそう変わらなかったでしょうが、昨年以上に満足できた濃密な時間でした。やはり、新曲3曲の色の違いに満足度が上がったと思います。

 

①「Midnight Devil」
ジャニオタが好きそうな”夜””闇”といった要素をこれでもか!とぶち込んできた曲。正門くんが「どエロイ曲をやりたい」とラジオで言ってましたが、これも十分どエロイと思います…!
JUMP担の友達同士が仮面について語り出すのを見て、育ってきた環境によって着目ポイントが異なっておもしろかったです。仮面といったら「∞UPPERS」のガムの面か、「前向きスクリーム」のひょっとこのおめんくらいしかスッと出てこないぞと思ったeighterでした。

 

②「SUPER ROCKET」
私はキラキラ王道アイドル曲が好きなので、3曲の中で一番好きです。真似したくなる振りも可愛いですし、若さが眩しいです。「大西さんたちがキラキラしたお星さまを振りまいていた記憶しかない…!」と序盤は友達に言っていました。

 

③「LET ME GO!」
るたこじが、歌や踊りで一緒に遊んでいるような楽しさも見える曲です。私の音楽分類ボックスでは、∞さんの「ノスタルジア」と同じ所に収めます。

 

 

+++

人ごとの感想

西畑くん≫

昨年程の焦燥感ややさぐれ感はない役どころでした。行方不明になった父親を探す、という至ってシンプルな動機で動いています。
今年も*4慟哭がすごいのですが、瞬間的にパッと熱を上げないといけない演技が多くて、気力・体力の消耗が激しそうだなと思いました。3階席まで届くようにしないといけないという部分があるのかもしれませんが、激しさだけでなく静けさをもって泣かせられる機会があったら嬉しいです。
ケントとの仲が深まる様については、ケント側からも考察するとおもしろそうです。「星を探そう」はキーが下がって西畑くんが歌いやすくなっているとのことです。

 

小島くん≫

今夏一番の見せ場とも言える、ケントと二人っきりでの「おやすみ講座」*5。劇中にめちゃくちゃ笑った覚えはあるのに、終演後「えっと今日はどんな話やったか…」と思い出すのがなかなか難しい不思議な時間でした。
「台本で初めて二行以上の台詞がある箇所!」「脚本どないなっとんねん!」等とメタ的な発言もあって、私はとても好きです。その一環で「傷の治りが早くなっている*6」という設定も出てきました。
罪を償って社会貢献する気に満ち溢れながら囚人生活を送るコジマ…お前は何でここに来たんや!?とより疑問に思いました。マトモじゃないから来たのかな…。

「Hi!Ho!」での火起こし部分でもちょいちょいアドリブ(棒以外のもので火をおこそうとする)を挟み、ちびっ子との絡みもあって楽しそうでした。

 

康二くん≫

龍太くんの看守長は白目がち(黒目が小さくなる)で描きたくなりますが、康二くんの看守長はハイライトを消した真っ黒な目で描きたくなります。動画を見てようやく、「fame」ではあんな表情をしていたのか…!と気づきました。花道を通る際にカラカラ…と棒を引きずる音がして、とても怖かったです。

一つ注文をするなら、もっとニシハタに固執していじめぬいてほしかったです。ベッドの下からハサミが見つかる→個人懲罰房の流れを期待していたので…!最後に「愛なんてくだらない」と言いながら去るので、ケントがニシハタをかばった場面に愛を感じたのかなと思いました。

 

 川北くん≫

夏の川北くんの記憶が、大きな扇をくるくる回したり松明を持って踊ったりの険しげ(クール)な表情ばかりでした。どうせなら、笑顔の川北くんを最新情報としていっぱい保っていたかったです。

 

 

+++

まとめ

 今年の私は青チームの民になったのか…という感慨が大きかったです。兄組と弟組では弟組を好きになりがちなので、まさかそちら側から見るとは思っていませんでした。

"意外な配役"と聞いた時からどのようになるのか色々と考えていましたが、幕が上がって実際の配役を見た時に感じたのは、若い子の底力を上げたいという意向でした。もちろん西畑くんはその”若い子”側ではなく、教える”大人”側にだいぶ前からなっていた訳ですが、時の流れをひしひしと感じます。

 

看守や看守長が実在するのは当たり前の世界ではない、というのは東の方を見て思います。
「大昇くんは赤いつなぎで…」と聞いた時にすぐピンとこなかったのですが、東の「少年たち」はオレンジvs緑なので”赤”は異質なんですよね。

15年夏以降、色々なバージョンの「少年たち」を観てきましたが、どの季節も過ぎ去ってから良い思い出になるとともに、その時しかない刹那性を感じて切なくなります。

 

+++

レポツイ

*1:朝田くんがドラムを担当する中で、数回だけ大橋くんが披露する回がありました。法則性が読めないガシャに、該当担は恐怖したのでは。

*2:ANOTHER~ダイゴと長老について~ - 柑橘類の陽

*3:このペンダントがあったことで、ムロはニシハタの顔がわかったし、とても協力的になれたのだと思います。

*4:去年の夏は、11月公開の映画「ラストレシピ」を観て、なるほどここから夏松竹の慟哭…と納得しました。

*5:「おやすみ」と青チームに声を掛けたケントに対し、おやすみの語源から何やら話が膨らみ、よくわからない時間が送られる小島くんの独壇場タイム。

*6:16日昼公演。回復力を高める薬を考案して、囚人たちのご飯に混ぜて人体実験してるのかな。そうすると看守長はラストで筋力増加剤などを飲んでムキムキのバキバキになって囚人たちに素手で向かってくるだろうな、と妄想が広がりました。