柑橘類の陽

イラストだけでなく、言葉でも伝えられるようになりたいです。

映画「少年たち」雑感

私が初めて「少年たち」に触れたのは2015年夏の松竹座で、まだまだ新規の範囲に入ると思っています。そんな長い伝統と歴史がある演目「少年たち」がついに映画化!ということで、ジャニーさんの気持ちがかなり入った映画になるだろうと、観るのを楽しみにしていました。47都道府県での上映や応援上映、実演&ライビュなど、観やすい環境と何度も観たくなる仕組みからも、力の入れ具合を感じました。はてブで初めて「少年たち」に触れた方の感想がたくさん読めたのも、気軽に観に行ける映画だからこそだと思います。

 

 

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全体の感想

映画を観る前に持っていた希望は、次の3点です。

 

看守が実在する。
→東の舞台で看守(長)は声のみ出演であるため、ファンからは「エア看守」と呼ばれ、殴るSE音に合わせて痛がるシーンなど、一部「笑ってはいけない少年たち」になる瞬間も生まれるため、せめて映画では看守がずっと実在してほしかったです。

②急に雪を見たがらない。
→近年の関西Jr.の舞台では、途中から「Another」の展開になります。中盤で雪を見たがる発言をすると、それは死亡フラグです。東西共通現場にまで、トンデモ展開は起こってほしくないです。

桜の花びら舞う木の下で、日記帳を持った京本くんとジェシーが出会う。
クレーンを使った撮影があったと知り、「となれば、こういうシーンがありますよね!」と閃いた完全なる妄想です。

 

最初にこの映画を観ている時に漏れでた言葉は「やばい!」でした。これぞジャニーズ・ワールド…!とアドレナリンが出まくりました。
「トンチキ」というワードの後に(笑)やwwをつけることがあるかもしれませんが、冷静に考えてみて、そのトンチキを提供しているジャニーズ事務所は芸能界の中でも人気アイドルがたくさん所属する事務所で、つまりはこの世の中にトンチキを求めている人がたくさんいるってことじゃないでしょうか!?大きい主語が嫌いな私が「世の中」を主語にしたくなる程の衝撃でした。

 

数年前に「キンプリはいいぞ」の合言葉とともに映画「KING OF PRISM by PrettyRhythm」が流行したとき、私も鑑賞して普通に楽しかったし好きだったのですが、何度も映画館に通う程の熱量は得られず、それは既にプリズムの煌めきに慣れていたから仕方のない事かと思っていました。*1
しかし、20年以上見ているジャニーズでもこの映画みたいに新鮮で衝撃的な出来事がまだまだ起こるのかもしれないと思うと、これからのジャニオタ生活も楽しみになりました!二次元のアイドルも見るようになって、結局ジャニーズ(三次元)が一番ぶっ飛んでるな!?と思うことがよくあります。そして、初見時の衝撃は何回も観る度にどうしても薄まってしまうので、とても残念です。

 

ホテルとして新たに生まれ変わった少年刑務所で、女の子が「ショーの時間が始まっちゃうよ」と言った瞬間に覚悟を決めました。ポスターにも堂々と載るHi Hi JETSや美 少年のショータイムに、年齢・国籍・性別問わず色んな人が楽しむショーを届けたい…!というのが社長の願いなのかなとぼんやり思いながら観ていました。ショー部分がすごく”社長色”の強い時間でした。
エンドロールの最後の最後が囚人でなくてちびっこJr.の無垢な笑顔だったのには、「主役とは…」となりました。彼らこそ本当の「少年たち」ではありますが。

 

次の項目「赤房について」でも触れますが、私にとって「怖い」と感じる部分が映画には度々ありました。

熱にうなされている時に見る夢みたいなショーの挿入の連続に、これは誰かの夢オチなのか?誰の夢なのか?と頭を捻るも、結局誰の夢でもなかった模様。
ジュンが描いたノートの絵から実写映像に切り替わるという演出で、そもそもジュンは囚人のつなぎでなく私服で描いており、その通りの服装で実写映像になったのが、夢なのか現実なのかわからなくて怖かったです。絵に存在しなかった関西勢が実写映像では加わっているのもまた、誰かの幻想を観ているようで不安になりました。
オープニングの8分間ワンカメショーをなぞったコミカルバージョンのエンドロール映像には、この後にまた誰かの入所シーンが続くと「少年たち~type-B~」みたいな別世界が始まって「世にも奇妙な物語」風味になりそう…と勝手に怖がっていました。 

ここで言う怖さとは、私の中の普通から少しずつずれていて、自分の常識が通じなさそうだという感情から生まれる物です。“熱にうなされている時に見る夢”と感じる時点で、恐ろしいものとしてとらえているのだと思います。

 

死んだはずのジュンがエンドロールで仲間の元に駆け寄り、ダンスを披露するシーンは、「もしジュンが生きていたら…」とオタクが後で考える展開なのに、公式で供給してくださるのだなと思いつつ。楽しそうなダンスが良かったです。アピール部分を小島くんと阿部くんコンビにしてくださった方には思いっきり感謝します!私得でしたし、需要がきっとある組み合わせです。

 

何も知らない友達に伝えるとしたら、「ふんだんなショーでザ・ジャニーズといった世界にドーパミンが出まくり!ただし、私にとっては何故かホラー映画のようで怖かった。」という文章になります。

 

ちなみに最初に挙げた3点のチェック結果は下記の通りでした。

①看守が実在する。ずっといた!
看守が実在したお陰で、囚人たちが脱獄できてよかったです。「俺たちは上等」で看守がマネキンとなり概念化していましたが…。

②急に雪を見たがらない。ゆの字も出なかった!
最後までちゃんと「少年たち」でした。奈良県は海なし県なので、いつの間にか南の島にいたら架空の奈良県すぎる!と思っていました。

③桜の花びら舞う木の下で、日記帳を持った京本くんとジェシーが出会う。出会いませんでしたね。
その代わり、「JAPONICA STYLE」で桜の花びらが舞っていました。

 

 

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赤房について

 

元々暴力シーンには見られるものと見られないもの(痛くなる)があって、今回の映画を経て、「ハサミで刺す」「原付で引きずり回す」「墜落する」が見られないものに追加されました。相当なトラウマになっています(笑)!

 

フォーリーブス担(2015夏・2016夏松竹観劇)の母が鑑賞後に「今までで一番わかりやすい『少年たち』だった」と感想を言い、私は逆に舞台の方がわかりやすかったので驚きましたが、少し思い当たるところがありました。暴力シーンにダメージを受けていることと繋がるのですが、舞台だと説明の台詞*2なので脳内で文章をサラッと処理して後で反芻するところを、映像の場合は作り手の見せたい分量の視覚情報が入ってくるので私には処理しきれず、本筋だけを考える余裕にまで至らないのだろうと思います。
殴る・蹴る・撃たれるは見ても大丈夫(痛くない)なので、そういった意味でも私は舞台版の方と相性がいいと思いました。

 

そしてエガオ(高地くん)がめちゃめちゃ怖かったです…。
「俺たちは上等」でマネキンの看守が登場したのも、エガオが「看守なんてマネキンだと思えばいいんだよ」とニッコリ言ったからでしょう?怖い!笑顔で入所のキッカケを振り返るエガオを見てからは、エガオが何を言おうが怖くなってしまってダメでした。
※すとの高地くんを見ても特に怖くないので、現実と虚構の区別はついています。安心してください。

 

ダイケンが「先生にウケのいいヒロトが…」の説明には納得、大人は素直な子を贔屓しがちですものね。実際の北斗くんと慎太郎くんがどういう関係なのかはわかりませんが、役柄としてダイケンとヒロトの秀才&素直なおバカコンビはとても良い。好き!とニコニコ見守りました。

 

 

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気になった時間経過について

 

他にも色々ツッコミポイントはあるのですが、たくさん考えても納得はできないだろうと予想のつく時間経過についてのメモ書きです。*3

 

①タスク(ふっかさん)とミサキのアレコレ。

(始点)タスクとミサキが出会う

・「俺がおとすのに一年もかかってしまった」

・ミサキのお腹に宿された命がもう誕生する

……結構女慣れしてそうなタスクは、何歳設定なの!?

 

②プリズンホテルまでの道のり。

・2012年 ジュンが入所。脱獄を試みる。

・2014年 ジョーが出所。

・2019年 プリズンホテル開業。素晴らしいショーの披露。懐かしむ看守長。

……ジョーの出所から5年後にホテル開業って、展開が早くない!?全員が出所したのか、刑期が残っている者は別の少年刑務所に移送されたのか、そこでまたドラマが産まれそうです。10年以上の時が流れていたらまだ納得できましたが、旧奈良監獄がプリズンホテルとして生まれ変わろうとしている現状に合わせようと、2019年の設定になったのでしょうか。

 

 

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関西について

エーーーーーーッ!?と心の中で叫んだのは、もちろん「HAPPY」の挿入箇所です。2018年夏松竹で初披露されてから関西担が慣れ親しんできた「HAPPY」って、鎮魂歌だったの!?「あいつのぶんも生きる」みたいな使い方じゃないですか!?とビックリしました。歌のシーンだけめちゃめちゃ画面が明るくなるのもあり、これはもうケンタ(室くん)が天国に行く前に想像した楽しい世界なのかと…。ケンタはもう戻ってこないということが、ダイケンが脱獄計画に前向きになるキッカケになりましたが、結局ケンタは生きてましたしね。出所後は奈良の観光業に就いてくれて、奈良県を愛してくれてありがとうね!?となりました。

 

せっかくの東西共演、黒房と他の房の絡むシーンがもっとあったら嬉しかったですね。西畑くんの役名が漢字だったので、これは本筋に絡む役どころではと期待していましたが…黒房自体があまり絡んでなかったように思います。とはいえ、作品のモデルとなった旧奈良監獄が関西圏にあったからこそ関西Jr.も参加できたのでは…?と思う部分はあるので、あまり贅沢は言えないです。

 

奈良県の予算に旧奈良監獄についての記述があるのを見つけてから、「国の予算がつく事業!」とニコニコ過ごしてきた奈良県民なので、ワンカメショー&観光案内シーンでは奈良県の風景案内の側面を感じていました。この映画が奈良の観光に役立つかはどうでしょうね?というところですが*4、プリズンホテルが開業されたらまずはオタクに泊まりにきていただきたいです。

 

 

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まとめ

 

日舞台挨拶のライビュには行けませんでしたが、4/15の実演ライビュには参加しました。GWにあんなに上映してくださるとは思っていませんでしたが、どうせならライブ付きの方が観に行きたくなりますものね。
噂には聞いていた「Mr.ズドンがやって来た」*5を見られると思っていなかったので、すと担ばかりでない場でその選曲…!と、口をあんぐりしました。各ユニット越境チームでのダンスは参加メンバー半分ずつの披露で、両パターン観てね!という意図が伝わってきます。

 

この映画化によって、ここ数年東西でそれぞれガラパゴス進化を辿ってきた「少年たち」の上演が落ち着きそうな予感がします。何事も毎年あると思ってはいけませんが、「Another」も毎年観ているような状態でもあるので、大人数を活かす設定を新たに作るのが難しいとは知りつつも、今年の夏は“これまでに観たことのないお話”を求めています。

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*1:当時の感想→ キンプリ(映画)体験記 - 柑橘類の陽 推しの西園寺レオくんのプリズムショーが素晴らしすぎて、このGWは映画館に何度も足を運んでしまいました。テレビ放送第七話にはまだ間に合うので、気になる方は予約してください。

*2:たとえば「忙しい両親に代わり、弟と、認知症を患う祖母の世話をしていた。あれは蝉の声がうるさい夏の日だった…」「毎日毎日金を要求され、俺は静かに爆発した!金を受け取る手をロープに結び、そのまま原付を走らせてやった!ははっ!」とか。

*3:16年夏松竹でも年齢についてあれこれ考えていたので、恐らく私がよく気になるポイントです。参考→ANOTHER~ダイゴと長老について~ - 柑橘類の陽

*4:ジャニオタでない人が観た際、内容に最後までついていけるかが疑問。

*5:eighterに向けて言うなら丸山さんのパーン!と「MAGIC WORD ~僕なりの…~」みたいな関係の曲です。公式サイト→SixTONES【Mr.ズドンがやって来た】みんなで一緒に楽しもう!! - YouTube